国際シンポジュウム:報告

菅原 努

 前日の7月12日かねてから中国、インドなどと共同研究を行っていた高自然放射線地域研究について欧米の学者を含む専門家の評価を仰ぐためのワークショップを開催しました。そしてそれと合流して6時から国際シンポジュウムとしての歓迎パーテーを開き、翌日は朝9時からシンポジュウムを始めました。  

 参加者は192名で同伴者を含めると209名となりました。一番多いのは当然日本で122名、次いでアメリカ23、ドイツ6、中国、インド、ロシアが各5、イラン、韓国が各3、ハンガリー、スエーデンが各2、あとはオーストラリア、オーストリア、ベルギー、フィンランド、タイ、ウクライナが各1で、全部で17ケ国におよびました。  

 会議そのものは大変盛会で、私達の企画は正に時期を得たものであったと自信をもちました。放射線発ガンを念頭に置きながら、分子から細胞、動物実験、更には人を対象にした疫学までを3日間にわたって議論をしたうえで、最後に総合討論としてこれらの成果をふまえて、これからの放射線防護基準はどうあるべきかを、世界の一流の科学者に論じてもらったのです。最初の3日間の議論は広い分野にまたがるものですから、なかなか皆を理解するのは難しく、初日の夜、座長と総合討論の演者をお招きした夕食会で、総合討論は出来るだけ分かりやすくお願いします、と挨拶しました。しかし、このような放射線防護を念頭に置きながら、広く放射線生物学の問題を論じる国際会議は珍しかったようで、参加できてよかった、大変勉強になった、と何人かの参加者から喜びと感謝の声を頂きました。  

 私は最後の総合討論の締めくくりを兼ねて閉会の挨拶として、次のように締め括らせてもらいました。「放射線防護の体系は単純で分かりやすいものでばければなりません。しかし此処のいる生物学者達は複雑な生命現象に興味をもって向かって行きます。その二つをすぐに結びつけるのは難しく、どうしても単純化して防護に使わなければならないと思います。それでも防護を計画される方は常に生物学の進歩に注目して随時それを取り込むように努力して頂きたいとお願いします。どうも4日間のご協力有難うございました。」

註:このシンポジュウムの記録はElsevier社より2002年早々には出版するべく作業が進んでいる。


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