DNA傷害に対する防御機能の生物学

 以下のデータがその基礎となっている。

 


Fig7 The antimutagenic DNA damage-control biosystem. Estimates based on data in literature. Pollycove M and Feinedegen LE.

図7 DNA傷害の抑制システム  

 

 ヒトの体内では10ROS/細胞/日が生産され、10DNA傷害/細胞/日が作られる。この中には1/10の二本鎖切断/日が含まれる。一方、1mGy/年の低LET放射線では 5x10DNA傷害/細胞/日で10の二本鎖切断/日が含まれる。生体の防御を見てみると、10は抗酸化物質によって10に、DNA修復酵素によって10にまで減少する。さらに免疫機能、アポトーシス、分化や壊死によって最終的に1個から多くても2-3個のDNA傷害/細胞/日が傷害として残ると見積もられる。  

 さて、それでは低線量の日常的なレベルの放射線の寄与はどれくらいだろうか。放射線による二本鎖切断(2x10)はエネルギー代謝による場合(1x10)よりもはるかに多い。 この修復も少し不正確である。結果として、二本鎖切断の割合は10と10の代謝に比べて大きい。しかし、最初のDNA傷害が圧倒的に少ないので10個のDNA傷害/細胞/日が代謝による1個/細胞/日に加わるのみである。

    

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