電離放射線による被ばくを軽減することは、特に医療的な被ばくに関しては可能である

 
 放射線検査は人為的被ばくのうち最も主要なものである。(フランスでは平均実効線量は1mSv/年である。)ヨーロッパ連合(EU)の最近のこの問題に関する指導方針は以下の2つである。費用-最適化(できるだけ検査当りの線量を低くする)と正当化(それぞれの検査での便益とリスクを評価し、それが有益であるとされない限り使用しない)である。したがって、これらの原則は被検者が受ける実効線量とそのリスクの評価を必要としている。検査と手法によって実効線量は1mSvから数十mSv(X線走査や血管造影法を用いた検査の場合)に及び、リスクは年齢に応じて大きく異なる。リスクを過大評価すると子供は有用な検査を受けられなくなるし、過小評価は不必要なX線検査を複数回受けることにつながる。そこでアカデミーは、まず最初の段階として次のことを勧める。

1)最も大きいリスクが見込まれる検査の調査と評価に焦点をあてる。それは若年者のX線走査と早計な治療的血管造影法を用いた複数回の放射線検査などである。
2)医療情報の質に影響を及ぼさないで、放射線量を低減するかあるいは全く使わなくてもよいような技術を促進したり、この分野の技術的なまた基礎的な研究を推進する。
3)放射線検査でしかるべき線量を被ばくした患者、特に幼児の疫学調査をおこなう。
4)臨床医に放射線防護に関する訓練を初回ならびに継続しておこなわせる。

 フランスでは自然放射線以外に受ける放射線の95%を医療被ばくが占めている一方で、工業的な方面で、ほとんど効果が得られないのに、放射線防護に莫大な費用をかけて被ばくを低減しようというのは容認できない。
 

    

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