おわりに

 低線量放射線による生物影響についてはいまだ不明の点が多く、さらに検討すべきことも残っている。筆者らの研究例も含め、従来考えられてきた「直線モデル説」では説明しきれない、矛盾を生じる研究成果も数多く見られている。したがって、改めて詳細にデータの集積を図り、放射線防護と放射線の有功利用の観点から見直すことが必要ではないかと思う。

 放射線に限らず、私たちの身のまわりのさまざまな環境ストレスは、私たちの体に良きにつけ、悪しきにつけ作用しているのである。これが生命現象の不思議で神秘なところなのであるから、放射線を闇雲に怖がるのではなく、改めて放射線と我々との付きあい方を考え、じっくりとラドン温泉につかり心身ともにリフレッシュして頂きたいのである。

 

参考文献

  1. K.yamaokaほか、Arch. Biochem. Biophys., 302, 37(1993).
  2. G. Bernatzkyほか、Z. Phys. Med. Baln. Med. Klin.,19, 36(1990).
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本論文は東京化学同人の現代化学2000年1月号
に掲載されたものを承諾を得て転載致しました。

    

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